病院機能評価項目の「返書送付100%」を導入1ヶ月でスムーズに達成
精神科単科病院の地域連携強化を目指して
桜ヶ丘病院様(石川県金沢市)の事例
精神科医療において、地域との連携強化と業務効率化は長年の課題でした。
今回は精神科単科病院として心のケアから高齢者医療まで幅広く対応する桜ヶ丘病院地域医療連携部の皆様より、精神科医療における課題解決にM-INTがどう貢献したか、をお話いただきます。
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向かって左から、地域医療連携部副部長多田さん、同部係長竹林さん、外来主任田村さん
インタビュー参加者
◾️多田さん: 地域医療連携部副部長。主にベッドコントロール業務を担当し、外来師長も兼務。
◾️竹林さん: 地域医療連携部係長。認知症治療病棟を担当し、入退院支援や広報活動、地域連携強化に尽力。また認知症のオレンジカフェの講師など、院外活動にも携わっています。
◾️田村さん: 外来主任。外来業務における診察補助を主に行っており、外来で発生する様々な連携業務を円滑に進める役割を担っています。
課題・ニーズ
・病院評価機能達成に向け一次返書送付100%達成する必要がある
・精神科病院ならではの受け入れ課題
・長期入院患者の退院支援の困難さ
・地域連携における知識の差
・新システム導入への抵抗感、「業務量が増加するのでは」という現場の懸念
効果
・導入1ヶ月で一次返書作成の100%送付を実現
・返書ステータスの可視化
・スタッフのシステム順応
・地域連携における活用可能性
課題とM-INT導入の背景ー地域精神科医療の中核を担う専門病院として
桜ヶ丘病院は「心のケアから高齢者医療に至るまで心のこもった医療を」をテーマに、精神科に特化した単科病院として、地域における精神疾患患者のケアに貢献しています。
近年増加傾向にある認知症患者の相談にも積極的に応じ、症状が改善・軽快した患者さんについては在宅や地域の施設への復帰支援にも注力。
特に、精神科全般・老年精神医学・精神病理精神医学、認知症の周辺症状として行動障害を伴う重度の認知症治療を得意としています。
一般的な総合病院と比較し、精神科病院ならではの課題も存在すると言います。
「特に、長期入院患者の退院支援は困難を伴うことが多い」とベッドコントロールの現場責任者でもある多田さん。
認知症患者の受け入れ先が限定的であることや、家族が長期入院に慣れてしまい、退院に難色を示すケースもあるとか。
「一般病院の在院日数が10日程度であるのに対し、精神科の平均在院日数はかなり長い270日であることから、家族との付き合いが長くなり、退院への意識が薄れる傾向にあります」(竹林さん)。
また、地域連携においては、紹介元の医療機関が精神科に関する知識を十分に持っていない場合があり、受け入れが難しい患者さんからの相談もあるとのことでした。
M-INT導入の決め手➖病院機能評価基準達成に向けて
桜ヶ丘病院がM-INT導入を決めた最大の決め手は、「『病院機能評価基準』の達成という明確な目標に対し、業務効率化を図りつつ紹介元への返書(一次返書)送付を確実に実現できるツールとして最適と判断したから」(田村さん)。
(公益財団法人)日本医療機能評価機構による病院機能評価認定を目指している同院。
評価項目の中で、”返書の100%送付”が地域医療連携部の課題となっていた一方、手作業での対応では現場スタッフの業務量が増加する懸念もあり、二の足を踏んでいた実情がありました。
M-INT導入をきっかけに、より効率的に返書管理を行い、送付率100%達成に期待していたと言います。またその流れで二次返書、三次返書も効率的に抜け漏れなく送付を目指したいと考えていました。
導入による効果ー導入1ヶ月で一次返書100%をスムーズに達成
▪️一次返書送付100%達成と返書管理
M-INT導入により「これまで送れていなかった一次返書を効率的に作成できるようになり、導入1ヶ月で返書送付100%を達成できました」と竹林さん。
病院機能評価項目に自信を持って対応できるようになりました。
また、返書管理ツールとしてのメリットも大きいと言います。
同院では紙カルテを使用していることもあり、「これまでは医師の先生方の返書の進捗状況など完全に把握できずにいました。M-INTで(返書を含む)診療情報提供書の送付状況を一覧で確認できるようになり業務の可視化が進みました」(田村さん)
▪️地域医療機関との連携強化
返書送付を徹底してから周辺の連携医療機関からの反応も少しずつ増えてきました。
桜ヶ丘病院は、北陸で最大級の「医療法人社団浅ノ川病院グループ」の医療機関ですが、法人内や協力関係法人からも「こんなシステムがあるんだ」とM-INT導入の取り組みに興味を持つ反応が寄せられています。
今後M-INTを通した医療連携が進み、精神科単科病院として同院が課題感を持っている「退院支援」にも良い影響が出てくることを期待しています。
▪️シンプルな操作性
M-INT導入検討時には「スタッフ全員がパソコンを使いこなせるか」「本当に紹介状が送れるようになるのか」「かえって仕事が増えるのではないか」といった現場の抵抗感・懸念の声が多数ありました。
実際導入してみると、シンプルな操作性もあって大きな教育・研修時間を設けずとも現場に順応して行きました。
M-INT導入後の成果と今後の展望ー精神科疾患に対する理解と入退院支援強化を目指して
今後は返書のみならず、病院がやり取りする”全ての紙の書類”を電子的に送受していきたいとする同院。
長期入院患者の退院支援や、精神科疾患への理解と医療連携の課題は依然として存在するため、医療機関でやり取りされている全ての書類をM-INTでやり取りすることで、医療機関とさらなる連携強化を図り、スムーズな患者紹介や医療連携が実現することを期待しています。

