患者紹介業務のデジタル化により、
大幅なコスト削減とリスク低減で質の高い医療提供へ
診診連携促進にも期待
さくら脳神経クリニック(神奈川県横浜市栄区)様の事例
医療現場の様々な業務デジタル化と診診連携の強化・円滑化に力を入れる、さくら脳神経クリニックの小池先生よりお話を伺います。

さくら脳神経クリニック(小池先生)
課題・ニーズ
・地域診療所が持つ強みや医療機器など「医療資源(リソース)」(※1特許取得済)が可視化共有されておらず、十分に活用されていない
・病診連携ほどに進まない「診診連携」
・紙による従来の患者紹介のコスト・リスク
・医療業務全般におけるDXの遅れ
効果
・患者紹介の電子化で紙や郵送にかかるコスト、事務作業の時間も削減
・患者紹介をよりスムーズにする機能で紹介先への案内も便利に
・結果として診察に集中できより質の高い医療を提供できるように
課題とM-INT導入の背景ー地域医療の課題「診診連携」と立ち遅れる医療現場のDX
さくら脳神経クリニックは2022年に神奈川県横浜市栄区にて開業し、地域のかかりつけ医としての役割を持ちながら、専門性を活かした診療を行っています。
片頭痛を含めた頭痛や手足の麻痺、認知症などの相談に加え、特に「小児の頭の形や小児脳外」は小池先生の得意の専門分野の一つ。静岡県など県外から通う患者様も多いと言います。
「脳神経で開業している医師はなかなか少なく、患者さんが総合病院を受診するにはハードルが高い領域。気軽に相談できる場を提供するのが私たち(クリニック)の役割と考えています」(小池先生)
M-INT導入の決め手—医療資源(リソース)による診診連携促進と一歩踏み込んだDXを求めて
医師として日々現場医療に関わる中、小池先生が気になっていたのは”地域の先生達や医療機関との繋がりが十分に機能していないこと”と言います。
「小さいクリニックであっても、比較的海外などと比べても良い機械を持っていて検査も可能なのに、他のクリニックさんが実際どういう診療をしていて、何をお願い出来るのか、がわからないんです。可視化されていない点が気になっていました」(小池先生)
日本の医療システムでは、「病院と診療所の”病診連携”は進んでいるものの、診療所同士の診診連携”は遅れていると感じる」とは小池先生。
総合病院に通わなくても、地域の診療所に進んだ医療機器や作業療法士による良質のリハビリなど医療サービスを受けられる土壌があるにも関わらず、各医療機関が持つ”医療資源(リソース)”が十分に共有されず必要な診療機能が十分に活用されていない現状を指摘します。
また、医療業界全般におけるDXの遅れも指摘。「アナログがベースの”DX”がまだまだ多く、デジタル化は進みつつあるものの操作性や汎用性に問題があったり、デジタル化されたデータが十分に活用されていなかったりと、電子化のメリットを十分に享受出来ていない」(小池先生)
M-INTには”医療資源(リソース)”共有による地域医療との連携促進と、一歩踏み込んだデジタル化による医療現場のDXと業務効率化に期待し導入を決めたと言います。
導入による効果ーデジタル化による大幅なリスク・コスト低減へ
患者紹介にかかる書類や作業のデジタル化により、事務作業や書類作成にかかっていた時間やコストが大幅に削減され診療の質が向上しました。
◾️電子紹介状への切替による診療の効率化やリスク・コストの低減
従来の患者紹介では紹介状を患者様自身に持参いただくことから、医師は忙しい診療時間内に他の診察をストップし、外来の待ち時間を延長するなどして診療情報提供書を作成する必要がありました。そうして作成した診療情報提供書も紛失されてしまったり、紹介先へ持っていき忘れたりする事例も過去多くあったとのこと。
「電子紹介状であれば診療時間終了後に、患者様を待たせることなくボタン一つで紹介先に送れますし、紛失のリスクもありません。それに紙って、そもそもすごくコストのかかるものですよね。返書だったりを郵送するコストも大きいのでその辺りのコスト削減にもつながっています」(小池先生)
◾️事務作業の負担軽減
デジタル化により、事務作業の負担が軽減した側面も大きいとのこと。
「これまでは患者紹介時、書類を作成し印刷、ハンコを押して封筒に宛名を書き投函、などの事務の流れが必要でした。M-INTで紹介する時は事務スタッフにお願いする工程が必要なく、僕の(診察室の)デスクで完結するようになりました」(小池先生)
◾️デジタルリーフレット”受診案内票”※2の利便性
M-INTには、紹介先の予約方法や行き先案内を1枚にまとめたデジタルリーフレット「受診案内票」を自動で作成する機能があります。
「デジタルの診療情報提供書とは別に、この受診案内票があるのは便利ですね。相手が高齢の患者様だったりすると行き方やクリニック名、予約の仕方、電話番号など、何か見せながらお伝えする必要があります。診療情報提供書は中を見せるものではないので、それとは別にデジタルリーフレットが自動で作成される機能があるのは、患者様にとってもメリットが大きいと思います。そうでないと紹介先サイトやパンフレット探してコピーして渡して、とこちらもさらに工程が増えてしまいますから」(小池先生)
M-INT導入後の成果と今後の展望ー真のデジタル化で効率的かつスムーズな”診診連携”の実現目指す
2026年にMRIを導入し病床数も増床予定の同院。
「僕の理想の患者紹介の流れは、例えばMRIの予約枠を直接見られる状態にし、連携医などが直接そこに予約を入れられて、予約時に必要な造影剤の量や部位などを記載した依頼文もそこで取り交わせる状態に。その内容がそのまま案内文として紹介元で出力され、予約時の注意点やご案内などそのまま患者様への説明資材にしてもらえる。紹介状もデジタル化されているからスキャンも必要なくて、電子カルテにもボタン一つで保管される。そういう流れを近いうちに実現したいんです」(小池先生)
”患者紹介発生から電子カルテ保管まで、一連の患者紹介業務の流れが真の意味で完全にデジタル化され効率化されていけば、各医療機関が持つ医療資源(リソース)にもスムーズにアクセスでき、診診連携の実現も促されます。それがひいては患者様への適切な医療提供と地域貢献に繋がっていくー”
実現に向け他のデジタルソリューションとも掛け合わせながら、M-INTが持つ電子紹介状や電子署名機能、送信方法などをさらにアップデートさせ、より使いやすく機能拡張される事に期待を寄せています。
「ある医療エリア全体でM-INTが導入されるなど、面で受け入れてくれる地域をどんどん増やして行ってもらえるとより使いやすくなると思いますし、医療資源共有による診診連携の効果も大きく出てくると思います。多くの医療機関に受け入れてもらうためにも、診療情報提供書の通知方法の工夫や送信方法の多様化など、機能拡張にも期待しています」(小池先生)
注釈)
※1 特許取得済み
※2 特許取得済み(一部特許出願済)